三元前駆体硫酸ナトリウムの資源化
【プロジェクト概要】
世界的な新エネルギー産業の急速な発展と環境規制の強化に伴い、三元前駆体製造プロセスで発生する硫酸ナトリウム含有廃水の処理は、業界共通の課題となっています。従来の蒸発結晶プロセスで生成される無水硫酸ナトリウム(元明粉)は市場が飽和状態で処分が困難であり、資源化・高付加価値化を実現するグリーンテクノロジーの確立が急務でした。本プロジェクトでは、クリエートが設計・製造・建設を手がけた双極膜電気透析システムを導入。硫酸ナトリウム廃水は、多段階の前処理(脱脂・硬度除去・不純物除去)を経て、電場作用下で双極膜により水分子が水素イオンと水酸化物イオンに解離され、それぞれ硫酸イオンおよびナトリウムイオンと反応して硫酸と水酸化ナトリウムとして再生されます。生成される10%濃度の酸・アルカリ液は濃縮後、前駆体製造の浸出・沈殿工程に直接再利用され、水資源の95%を回収。完全な資源循環システムを構築しました。

【プロジェクトの特徴】
- 全工程をカバーする精密プロセスによる高効率・安定稼働の実現
プロジェクトでは、中空糸限外濾過、特殊樹脂吸着、双極膜、高圧逆浸透、耐アルカリナノ濾過など、10以上ものユニット技術を統合し、全工程的かつ精緻な処理チェーンを形成しています。このプロセスは対象特異的であり、油脂、重金属など各種不純物を効果的に除去し、最終的に得られる酸・アルカリ製品の高純度を保証。核心となる変換プロセスの安定かつ高効率な運転を強固に支えます。
- 価値再構築の模範と飛躍的な経済効果
本プロジェクトは副産物の価値を画期的に向上させることに成功しました。核心技術である双極膜により、トン当たり約300元の価値しかなかった無水硫酸ナトリウムを、600元の価値を持つ硫酸と3000元の価値を持つ水酸化ナトリウムに高効率で変換。製品総価値は6倍以上に向上しました。これは、廃水処理を単純な「コスト支出」から「収益源」へと転換しただけでなく、「廃棄物による収益創出」という循環経済の新たなモデルを切り開きました。
- 廃水の限りないゼロ排放達成と顕著な環境効果
「膜処理+蒸発装置」を組み合わせたプロセスにより、システム廃水の限りないゼロ排放を最終的に実現。企業の外部への廃水および固形廃棄物の総排出量を大幅に削減し、環境リスクとコンプライアンスコストを根源的に低減。環境効果と経済効果の深い融合を達成しました。
- 業界変革を主導:「汚染対策」から「価値創造」
本プロジェクトの成功は、従来の末端処理の範疇を超えるものです。化学工業廃水処理業界が「コストセンター」から「バリューセンター」へと戦略的に転換することを力強く推進しました。これは新エネルギー材料業界全体に対して、「資源再生→価値向上」という、再現可能なグリーン発展の道筋を示し、業界にとって極めて重要な模範的意義を持っています。